左利きとギターの出会い:Benedetto Bravo from Ginza

“Benedetto

The Double Bogey の活動で Gibson ES-335 の後を継いで不動の Main Guitar となっている Benedetto Bravoです。

左利き用のフルアコ探しでは相当苦労してきました。

最初の1本は Epiphone Emperor Ⅱ だったんですが品質面などいろいろ問題がありました。

2本目がなかなか好みのものが見つけられず東京に出かけたときに出会うというちょっとした「東京事変」だったわけです。

そしてこの3本目は「東京事変ふたたび」かつ「Social Media 時代の楽器購入」となりました。

もう楽器は買いません!は嘘になりました

「もう楽器は買いません!」何度誓ったことか(嘘)。

またやってしまいました...。でも、本当にこれで最後かも(ホンマか!?)。

ご覧のとおり「フルアコ」「アーチトップ」と呼ばれるものです。

Jazz Guitarist がよく使う Type の Guitar です。

まだロクに Jazz 弾けない僕にはあまりにもったいない楽器とだけ申しておきましょう。

左利きはつらいよ

左利きのギター弾きって因果なもんで、なかなか自分好みの楽器に出会えない。

ゆえに1本1本の楽器との出会いが衝撃であったりします。

そんなわけで今回の成り行きも記録しておきます。

東京での先輩との会話

めずらしく連泊で東京に行く用があり 一日だけ夜があいてました。

20年ぶりに Facebook でつながりを取り戻した大学の軽音の先輩・同期の皆さんとお会いすることに。

その1人が初心者で軽音に入った僕に一からギターを教えていただいた恩人。

会えば当然 Guitar の話になるわけです。

「銀座の山野楽器 行ったことあるか? Aechitop Guitar がずらっと並んでて壮観やぞ」と。

そんな話も数ある思い出話やみんなの近況など楽しい会話の一端でしかなかったんですが。

帰阪当日に先輩のおすすめだし話の種にってノリで行ったわけです。

左用なんてあるわけないと思いつつ。

山野楽器銀座で出会った!

ところが噂の Architpo の Showcase に 1本だけ 左用...!弾いてみたい!

だいたいね 左利きって試奏すらする機会ほとんどないんです。

もう楽器は買えないよなと思いつつもこんな機会二度とない。

厚かましく弾かせてもらったらズバリ!しっくり来てしまったんです。

東京事変ふたたび

ここまでの流れ 6年前 Eastman の Guitar を買った時と非常に被る。

「東京に行く用事」→「ある人に"お店"を薦められた」→『行ってみたら左用があった」→「弾いてみたらハマった」。

デジャヴな感じ。

ここで6年前は Band の相方にメールしたんですが 今はもう普通に Facebookに写真なんぞ Up するわけです。

気持ちは「いい Guitar だけど高いし無理かな。でもいいものはいいよね。試奏だけでもいい経験。」って感じ。

Social Media Kick!!

ところが大阪に帰り着く頃、皆さんから強力な Push の Comment。

「最高だよ!買っちゃいな!」「出会いを大切に♪ 」「棒茄子もうすぐ」「今すぐ家族会議!」などなど

もう「背中を押す」っていうか「ケツを蹴り上げる」ぐらいの勢い(笑)。

予想はしてたけど ここまでとは(汗)。

Cool Down

そんな中、一人冷静なコメントをくれるこれまた大学軽音の同期が。

彼は Architop Guitar を何本か所有していたこともありさすがに適確な指摘。

更に東京在住の彼は同じ Guitar の右用が置いてある店に出向き 近い価格帯の他の Guitar と弾き比べた印象を Comment してくれた。

これはありがたかった。

もう一度弾いてみたいけど東京まで行けない。

左利きの僕では他の Guitar と弾き比べなんて不可能。

一言に Architop Guitar っていっても Body Size 木材の種類など いろんな要素の組合わせで全然違う楽器になる。

その後も YouTube を見ながら「これ Image 近いね」とか会話。

このやりとりで短時間の試奏でつかみきれなかったことが Clear になりました。

やっぱりこの Guitar は自分の求めてるものに近いという実感はもてた。

ただ「自分がこのギターを持つに値する?」ってところでまだ悩む。

友人が先に買ってしまった!

そして最初の投稿をしてから約3週間後の Surprise!!

何と彼がギターを買ってしまった!

僕のために行ってくれた試奏で興が乗ってしまったのか?まさかの展開!

ここでまた僕に対する「買え!」コールが再燃(笑)

僕の方は何度かお店に電話し大阪人根性を振り絞って(笑)価格交渉

当初の提示から下げてもらったこともあり決心して発注しました。

Benedetto Bravo はこんなGuitar

そのBenedetto Bravo が手元にあります。

すごくいいです。

Main で使ってるセミアコ Gibson ES-335 と フルアコ Eastman のいいところを足して2で割らない感じ。

16 inch のフルアコは僕にはちょうどいい Size。

ES-335 と Eastman のちょうど中間ぐらいの胴厚で弾きやすい

Harf Depth の合板 Body でハウリングに強い。

Eastman と同様 1 Pickup + 1 Volume + 1 tone の Simple な Control

まさに The Double Bogey の Live にはうってつけ。

あとはこれを弾きこなす「腕」です。必死でがんばります(汗)。

何はともあれ、このソーシャルな ギター購入に参加してくれた皆さん、ありがとう!!

Repair記録:再塗装

購入後 Cutaway 側 の Neck Side の Binding の脇の塗装に亀裂というか気泡のスジみたいなのが入ってるのが見つかりました。

Body と Neck の接合部でもあり強度的も不安がありますので修理に出すことに。

ラッカー塗装は薄く吹き付けて乾燥させまた吹き付けて乾燥させを何度も繰り返すんでただでも時間かかるんです

梅雨の時期をはさんでしまったため更に長引き3ヶ月かかってしまいました。

問題の箇所はBody と Neck の接合部なので 塗装だけの問題なのか木の接合にも影響があるのか?

うやむやのまま塗装のやり直しだけで済まされたらイヤだなと心配しました。

その辺はさすが山野楽器さん

塗装の問題とあわせて弦高の調整幅にも難があったので併せてお願いしたんですが状態を確認してから修理にかかるまで Repair の方や本国のメーカーとも連絡を取った内容と「こういう方針で修理にかかります」というのを何度か連絡いただいたので安心できました。

このやりとりで勉強になったことが一つ。

ギターのような木材を使った楽器は製作の過程でそれなりに寸法等の狂いが出て来ます

その際の考え方は大きく2つに分かれるそうです。

  • 基準値に合わせる方向で修正しながらくみ上げて行く
  • 個体のばらつきを「是」として個体ごとに1 本の楽器として最適状態にくみ上げていく
    • これはどちらが正解ということではなく各メーカーの方針しだい。

      Benedettoは後者の考え方だそうです。

      3ヶ月ぶりに戻ってきてみると塗装は全く分からないくらい綺麗に仕上がってる

      弦高も Neck 調整をシビアに追い込んでくれていていい感じです。

      Repair記録:Pick Guard

      再塗装から戻ってきた Guitar ですが別の新たな問題がありました。

      Repair 時に外した Pick Guard が組立て間違いで斜めに取り付いています。

      弾く時に手に当たってしまうという問題

      こんなイージーミスが何故起こるか?というと この Guitar が「左用」だから。

      似た話でよくあるのが「Volume Knob が逆回転になっている」もの。

      大手 Makerの量産品よりも1本単位で Shop Order された高価な商品にこのミスが多いです。

      左で弾いてチェックする人がいないから気付かないんでしょうね。

      Pick Guard の取付けぐらいなら自分でできるんですがこの Guitar は少々複雑です。

      ピックアップとエスカッションも外さないと作業できない。

      となると弦を外さざるを得ずフルアコはブリッジが動いてしまいます。

      すると オクターブ調整等やり直しになってしまいます。

      やはりプロにお願いした方が無難かとおもいました。

      購入元の楽器店さんは「再度東京に送ってください」とのことでした。

      しかし発送はリスクもも手間もありますので逆提案しました。

      「大阪に信頼できるギター工房がありますんでそちらに依頼させてもらえませんか?」と。

      というわけでお世話になったWade Instruments さん。

      以前 "Jazz Guitar Book" の創刊号で存在を知り Classic Guitarの Pickup 取付けでお世話になりました。

      その時の対応が良かったので安心かと。

      購入元の楽器店さんからの事情説明のおかげで持ち込んだその場でスムーズに対応していただき修理完了。

      僕の場合左利きと言う特殊事情が大きいですが そうでなくてもこだわりを持って楽器を探していると東京のお店からしか買えない場合もあります。

      あるいは最近は東京の大手楽器店が各地に出店して選択肢が増えるのはありがたいんですがそういうお店にリペアマンはいません。

      修理をお願いすると「東京のリペアセンターに送ります」となります。

      そんなこともありWade Instruments さんには今後も「かかりつけ医」的にお世話になりたいと思っている次第です。

      東京の楽器店さんも全国で売るのであれば各地のリペア工房と提携して修理対応していただけるとよいのですが。

      Repair記録:Bridge

      1弦側の弦高が思っている高さまで下がらないっていう問題。

      これ購入した楽器店さんに Rpair を依頼したときにも指摘していて木製 Bridge を削ればいいことはわかってたんですが「音に影響するから良くない。ネック調整だけでなんとかします。」とのことで、ブリッジは触らなかったんです。

      しばらくその状態で弾いてたんですが、前回の通信 Lesson で音源を聴いてもらった布川師匠から「弦高、高すぎる?」っていう指摘をもらいました。

      改めて他のギターと比べるとやっぱり高い。

      今回は地元の Wade Instruments さんに持って行って相談したところ「問題ないです削りましょう」ということだったんで、お願いしました。

      何で判断に違いが出るか?

      一般的な楽器店さんは「販売」が生業であり Repair は After Service としてやっています。

      木のパーツを削る=失敗したら元に戻せないような Risk のある Repair には踏み込めないんでしょう。

      Wade Instruments さんの場合は Guitar・Mandolin・Bass等をいちから製作してらっしゃる「工房」なので、製作者の観点で判断できるわけです。

      修理後はとても弾きやすくなり音も影響なくいい感じです。

      弦楽器は新品で買った状態が必ずしもベストではないです。

      弦高等は弾き手に合せて調整した方がいいです

      ネックの状態は気候等の環境や張る弦によっても動きます。

      時々状態を見て必要なら調整する

      特に新品の楽器は状態が安定するまで時間がかかるので初期のうちにこまめに問題をつぶしておくのが有効です。

      そしてなによりたくさん弾いて音を出してやることで「自分の楽器」に育っていくんだと思います。