2006年3月に購入してから、出番の多さではN0.1。どんなジャンルでもこなせる今一番頼れる楽器がこのSUGIベースです。
国内外問わず様々なギターメーカーを渡り歩き、あのジャコが来日した時には彼のベースをリペアしたともいわれる、トップクラスの腕と経験をもつ杉本さんという方が2002年に興したSUGIブランド。
とにかく材の選択をはじめそのこだわりは相当なものです。この楽器はボディのバック材がアッシュ、トップがスポルテッドメイプルなのですが、一見突き板を貼り付けたかのように見えるこのメイプル、実は厚み10mmほどもあり、バック材をくり抜いて落としがけ加工されたものなのです。
ネック材はなんとタイムレスティンバーメイプル、メイプル、チューリップウッドを9ピースも!ラミネートしたもの。重量はおよそ3.8kgほどでこれがベース?と思うほど軽いです。
Mick-ModelのMickというのは井上陽水のサポートをはじめ、日本を代表するトップセッションベーシストである美久月千春氏のこと。
SUGIベースの開発初期に一流プロミュージシャンに使ってもらおうということで杉本氏が依頼したのが、あのTOTOのマイク・ポーカロ氏と美久月千春氏だったのです。ヴィンテージジャズベースがトレードマークであった美久月氏が一発で気に入った秘密は、新品なのにヴィンテージのトーンが出る、というところにあったようです。
私がこの楽器で一番気に入っているところは、絶妙な弦のテンション感。ほどよい柔らかさで、まるで弦が指に吸い付くかのよう!トーンはヴィンテージジャズべと同様に、繊細かつパワフル、クセのないフラットなバランス、ワイドなレンジで高音域から低音域までしっかり出るというような基本機能を十分すぎるほど満たしています。強いピッキングでは野太いトーンでワイルドな表情があらわれたかと思うと、ソフトなタッチでは一転、丸みのあるウォームな表情…とにかく表現力豊かな楽器です。
ある人が私のライヴ映像をみながらぽつりと「木の音がするベース」とつぶやいてくれました。確かにあたたかい木の音色がします。ラッカーやポリウレタン塗装とは違い、仕上げは木の風合いがそのままに、弾いた指や手のひらに木の香りが残ります。 この楽器だけは手放さないで使い続けることと思います。いっしょに育っていこう…そんな楽器です。
第1回 SUGI Mick-Model
第2回 Sadowsky NYC Vintage4
第3回 Fender Jazz Bass '73
第4回 Fender Jazz Bass '74
第5回 Fender Jazz Bass '62
第6回 STR GUITARS LS648
第7回 Fender Precision Bass '64
第8回 Musicman Stingray Bass '78
第9回 Fender Jazz Bass '65
第10回 KEN SMITH BSR6TN-CM (Black Tiger)