レオ・フェンダー氏が新たに手がけたミュージックマンブランドの象徴スティングレイベースです。プリアンプ内蔵によるアクティブコントロールや、弦の裏通し、ハムバッカーピックアップなど従来のフェンダーベースにはない、革新的スペックを携えて1976年にデビューしました。
この楽器は'78年型で、ほぼ初期型(最初期はピックアップが白い)の仕様を継続しています。80年代に入るとアーニーボール社に買収されますが、弦の裏通しがなくなり、2バンドイコライザーが3バンドに拡張されるなど多くの仕様変更が成されます。
スティングレイベースといえば、ルイス・ジョンソン氏やシックのバーナード・エドワード氏が有名ですが、特にルイス・ジョンソン氏といえばパワフルかつ小気味よいチョッパープレイがトレードマークになっており、私も一度はこの楽器を手にしておもいっきりバチバチ、んペんペしたいと思っていました。
そんなわけである日思い立ち、いつものように自分に合う楽器選びのため、試奏行脚が始まるわけですが、ポイントはやはり気持ちよくチョッパーするために、開放4弦の音がいかにガツンとくるか、そして指で押さえた時も変にもっちゃりと音がつぶれることなくいかにガツッと抜けてくるか…等々自分なりの視点をもってショップを巡り弾きまくりましたが、そんななかで第4回でご登場いただいた、某大手メーカー楽器店のスタッフさん(ルイス・ジョンソンフリーク)と再会するわけです。
たまたま立ち寄ったそのショップのエレ楽器売り場に入るといきなりルイス・ジョンソン氏が迎えてくれました。(小型モニタの教則ビデオ映像なのですが…)ここは天下の某世界的有名ブランドのショップなのですが、自社ブランド品よりもスティングレイはじめ他ブランドがやけに目立ちます。なんか妙にマニアックな品揃えだな…」妙にたくさんある新品のスティングレイに混じって、焼けて飴色に輝くオールドスティングレイを発見!!そして現れたスタッフの顔を見てびっくり!
「あの人だ!」
「どおりでスティングレイ多いはず…笑」
即納得です。
すかさず試奏をお願いしたところ、なんと調整中で音が出ないとのこと。仕方ないので生音でバチバチ、んペんペしてその日は帰宅したのですが、それがかえって想像力といいますか妄想をかきたてられしばらくはボディの振動と指の感触が忘れられません。
後日、調整が完了したこの楽器の音出しをした後、すみやかに家にお連れしたことは言うまでもありません。
個性たっぷりのスティングレイベースですが、個性がありすぎて、演奏する曲にいまひとつなじまず、活躍の機会がほとんどない状態が続き、ほどなく手放してしまいました。(2009.5)
第1回 SUGI Mick-Model
第2回 Sadowsky NYC Vintage4
第3回 Fender Jazz Bass '73
第4回 Fender Jazz Bass '74
第5回 Fender Jazz Bass '62
第6回 STR GUITARS LS648
第7回 Fender Precision Bass '64
第8回 Musicman Stingray Bass '78
第9回 Fender Jazz Bass '65
第10回 KEN SMITH BSR6TN-CM (Black Tiger)